蛸島キリコ祭り 2026
蛸島キリコ祭りは、古くから漁業が盛んな珠洲市蛸島町で行われる祭りです。約16基の豪華なキリコが町内を練り歩き、漆塗りや金箔、精巧な彫刻が施された華やかな姿が特徴です。また、船乗りたちが海へ出る準備をする様子を題材とした伝統的な狂言「早船狂言」も披露されます。
沿革
祭りは200年以上にわたって受け継がれています。その起源は、海から訪れた勅使の到着に始まったとする地域の伝承があります。江戸時代に漁業や交易によって蛸島が発展すると、地域の芸能が祭りに取り入れられるようになりました。こうした伝統から「早船狂言」が生まれ、現在も受け継がれています。早船狂言は、石川県の無形民俗文化財にも指定されています。
祭りを訪れて
1日目:初めて祭りに参加
これまで能登でいくつものキリコ祭りを見てきましたが、蛸島キリコ祭りは少し特別な体験になりました。今回は、初めて実際にキリコ祭りに参加する機会がありました。
地元の方が声をかけてくださり、祭りで着る伝統的な衣装まで用意してくださいました。また、「よばれ」にも招いていただきました。よばれとは、キリコ祭りの際に行われる宴会のようなもので、地域の人たちが食事を囲みながら交流する場です。最近では、祭りを準備したり参加したりする人が少なくなっていることもあり、このような集まりも以前ほど頻繁には行われなくなっているそうです。
蛸島では、いくつかの地区ごとにそれぞれ代表となるキリコがあります。そのキリコが夜になるにつれて少しずつ移動し、学校近くの交差点に集まってきました。蛸島のキリコは車輪を使って移動するため、通りでは地元の人たちが押したり引いたりしながら進めていました。



この日の町はとても賑やかでした。笛や太鼓の音に加えて、祭りの衣装についた鈴の音も通りに響いていました。お酒を楽しんでいる人も多く、町全体がとても活気のある雰囲気でした。私は20時頃まで参加しましたが、祭りはその後も夜通し続いていきました。
2日目:昼間のキリコ
翌日は、今度は明るい時間帯に蛸島キリコ祭りを見に行きました。この日は自転車で向かい、飯田町から蛸島までは約30分かかりました。







この日は12基のキリコが町を巡行していました。前日の夜よりも参加している人が多いように感じました。平日だった前日とは違い、この日は木曜日だったことも関係しているのかもしれません。昼間の巡行では、キリコの細かな装飾をじっくり見ることができました。夜に明かりが灯ったキリコとはまた違い、昼間だからこそ見える細部の美しさがありました。同じキリコでも、昼と夜ではかなり違った印象を受けました。
キリコの記録にも満足したところで、前日に声をかけてくださった地元の方のところへ向かい、再び祭りの衣装に着替えました。









早船狂言
その日の夜、早船狂言の会場の外には、明かりの灯った12基のキリコが集まり、その中央には神輿が置かれていました。早船狂言は19時頃から始まりました。



早船狂言は、蛸島キリコ祭りを代表する伝統芸能の一つです。江戸時代から受け継がれてきたもので、現在まで地域の中で大切に守られています。正直なところ、台詞の内容はあまり理解できませんでした。それでも、独特な雰囲気や演技を見ているだけでも十分楽しむことができました。内容や言葉遣いは、日本人にとっても少し分かりにくい部分があるそうです。
演じるのは20歳前後の男性3人です。最初に1人が登場して場を盛り上げ、その後、残りの2人が船を出すか出さないかをめぐって言い争うという、ユーモラスな内容になっています。早船狂言が終わると、20時頃から再びキリコが動き始めました。キリコは一基ずつ列を作り、神社へ向かって巡行していきます。
祭りの最後へ
蛸島の祭りでは、神輿が神社の境内に入ると祭りが終わるとされています。そのため、神社へ続く道には多くの人が集まり、祭りが終わるのを少しでも遅らせようとしているようにも見えました。
人が増えるにつれて道はどんどん混雑し、キリコもなかなか前へ進めなくなっていました。私は最初、神輿が神社に入ったら、キリコもそれぞれの出発地点へ戻っていくのだと思っていました。しかし、実際は違いました。
巡行は22時30分頃まで続き、最後には参加者が一緒に歌い、祭りの一区切りを迎えました。
その後、キリコは一基ずつ神社の境内へ入っていきました。巡行中に使っていた車輪を外し、今度は大きなキリコを人の肩で担いで運びます。境内に入ったキリコは、笛や太鼓の音に合わせて神社の周りを回っていきました。



この状態でキリコを担ぐ姿は迫力がありましたが、同時に少し怖さも感じました。動きが激しくなると、大きなキリコをコントロールするのがかなり難しそうで、バランスを崩しそうになる場面もありました。12基のキリコがすべて境内に集まり、神社を囲むように並ぶところまで見届けるのが本来の流れだったようです。
私は23時頃になり、最後まで見届けるよりも帰宅することにしました。それでも、実際に祭りに参加し、伝統的な衣装を着て、よばれにも参加することができました。そして、キリコの巡行やはやぶね狂言まで見ることができたことで、蛸島キリコ祭りは能登で経験したキリコ祭りの中でも、特に印象に残る祭りの一つになりました。






